この言葉は私の母が口癖のように言っていた言葉です
「人間はね、外見じゃーないよ、頭の良さでもない、もちろんお金や地位でもない、心、心根がいいこと。これがね、一番大事なことなんだよ」




「勉強しなさい」なんて、一回も言ったことのない放任ママでしたが、お年頃になり髪を巻いたり伸ばしたり、化粧をあれこれ始めた私に
「鏡の前に何時間もいる暇があるんなら、本を読んだり良い音楽を聴いたり散歩へ出たりして心を磨きなさい、心がキレイになると肌も声も姿勢も変わる。心がキレイな人は全身から美しさがにじみ出るんだよ」

とにかく「心」「心」と言われ育てられました

そんなマミーは、「心こそ大切」を信条にしているだけあって娘の私が言うのはちょっと照れるけど、本当に心根のいいひと。強くて優しくていつも笑っていつも何かに感謝して生きてる。夜犬の散歩に行けば星空に感動し、風が吹けば心地よさにうっとり目を閉じ、近所のガーデニングのお花を見て「きれいだきれいだ」ときゃっきゃ言い、子供みたいだな〜と思ったりするくらい。
人の悲しみに心底胸を痛め、人の喜びに一緒に泣いて喜ぶ

あの人の心はどこか高いところにあるみたい
私がいるところより、もっと高い場所・・・

「心がきれいだと全身から美しさがにじみ出る」
若い時は「へっ」と思っていた言葉も、今のあの人を見ると、いやに説得力があったりする。
71歳に見えないくらい肌もつるつるで皺もない!背筋もピンと伸びていて、口角も常に上がっているから、どう見てもお婆ちゃんじゃなくておばちゃんだ。

そんな母を私は毎日泣かせている
「外国に行ったわけじゃーないんだし馬鹿だと思うけどね〜全国の天気予報を見ると毎日あんたを思って涙が出

るのよ。あー今日は晴れなんだな、元気かな。今日は雨なんだ、風邪ひいてないかな、って。そうするとね、遠いなー、あの子にはなーんにもしてあげられないなーと思って切なくて涙がでるの」

福岡へ来て、もう12年になるのに・・・

母親ってそんなものなんだろうな・・・


送り出してくれる時、くしゃくしゃのぼっろぼろになった顔で「お母さんあんたにはなんの教育も躾もしてあげられなかったけど、人間として一番大切なことは教えてきたつもりよ。格好つけなくていい、あんたらしくやってきなさい。」って言って抱きしめてくれた。
2頭のダックス達の前足をぎゅっと握って「頼むよ、おねーちゃんを頼むよ」って言って又泣いてたっけ。

頼る人もいない土地で、心の支えになってくれるのはこの子達だってわかってたんだね。

お母さんの読み通り
福岡へ来て、ますますダックスにのめりこみ
「ショウや繁殖をしていきたい」って言ったときも「あんたは昔っから動物が好きだったもんねー。やってみなさいよ、誠心誠意人と犬に尽くしていきなさい。きっと自分に生きて返ってくるからね。」とただひとり応援してくれた。

初めて子犬を亡くして一週間ごはんも食べれず涙ばかりでて、悲しくて悲しくてどうしようもなくなってお母さんに電話したら「泣いてたらその子はいつまでも成仏できないよ、天国へ行こうとしている子の足を引っ張ってどうするの!本当にその子を思ってあげるなら早く生まれ変わってこれるように祈ってあげなさい。今度は健康な体で寿命を全うできるようにって祈って送ってあげなさい。」と言ってくれた。
そして電話口で一緒に泣いてくれた。

物事には無駄なことなんてひとつもない、その子が生まれてきたことも亡くなってしまったことにも、大事な意味がある。短い間だったけれど、自分の使命を全うして旅立ったんだよ。あんたを選んで、あんたに伝えたいことがあって生まれてきてくれたの。無駄にしちゃだめよ。
って教えてくれた

親や兄妹や友達たち、住みなれたところから一人離れて、心細くて寂しくて悲しかったり辛かったりもたくさんあった
でもお母さんがいつも支えてくれたから今私は笑顔でいられる

お母さんの言葉や思い
年を重ねてやっとわかってきたよ

そして私も
「何よりも心が大切」って思うようになってきた

なんの取柄もないし不器用で口下手だけど、心から誠心誠意犬たちに接していたらあの子達はちゃーんと応えてくれるの
同じように犬が大好きで、優しくてあったかい心の人たちばかりと出会えるの

そうゆうことなんだね

「心こそ大切」
あの頃ピンとこなかった言葉を、今、しみじみ、つくづく実感している私は、母の言葉をしっかりと胸に抱えて、毎日を生きていこう、と思っています




K.BOMBERのTOPMENU